短編

暖かな陽射し
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あるよく晴れた日の事。

「ったくもー…ひまだなぁっ」

俺は缶を蹴り飛ばし、悪態をついた。

ひまだぁ…。

きょうはかあさんパレポリにかいものにいっちゃったし…。

ひるねでも、しようかな…。

お気に入りの昼寝スポットの木の下に寝そべり空を見上げた。

…あのくも、そふとくりーむみたい。

あーあ、おなかへったなあ…。

瞼がどんどん重くなってきた。

くあ、と大きなあくびを一つしたその時。

「あーっ!あぶなぁーい!!!」

女の子の叫び声が響いた。

「へ?…ぅわ!」

何かが猛スピードで一直線にこちらに向かってきている。

「ちょ…っ!」

起き上がる暇がなくゴロリと一回転右にころがった瞬間。

どーーん!

その何かは今まで寝そべっていた場所を通過し、その先の岩にぶつかって大破した。

「……」

あまりに突然の出来事に俺が絶句していると、さっき叫んでいた女の子が残念そうに破壊された何か…いや、ロボットの残骸を拾い上げた。

「あーあ…。こわれちゃった。あたしのはじめてのはつめい…『かんたんそーじき70ごう』が…」

紫がかった髪をした女の子がため息をつく。

「あの、さ…」

ん?とその子がこっちを向く。

だいたい同い年くらいのようだ。

「…あんた、だれ?あんたがうごかなかったら『かんたんそーじき70ごう』こわれなかったかもなのに…」

そりゃないだろ…。

おれ、あんときよけなかったらいまごろしんじゃってたよ。

「おれはクロノ。きみ…だれ?あと…」

ちらりとロボットの残骸をみやる。

「それ…なに?」

「あたしはルッカ。むこうのいえにすんでるの。あれはさっきからいってるけど、『かんたんそーじき70ごう』あたしのはじめてのはつめいなの」

「はじめてなのに…70ごう?」

疑問に思った事をそのまま口にするとルッカがキッとこちらを睨みつけた。

「ネーミングセンスもわっかんないの?ロボットといったら数字でしょ!?」

…なんなんだそのわけのわかんないきまりは…。

「じゃあ、おれはこれで…」

あやしいひとにはかかわっちゃいけません、ってかあさんもいってたし…。

「ねえ、これはこぶのてつだってよ!」

指し示されたのはロボット(だったもの)。

「どうして…?こんながらくた」

「ガラクタじゃないわ!しっぱいはせいこうのもと!まだつかえるぶひんもあるのよっ」

それから…とルッカが付け加えた。

「なおしてあげなきゃ。ロボットがかわいそう」

さみしげに呟いたルッカを見て、ふと思った。

…えらそうなたいどだけど、あやしいひとじゃない、のかな…。

それに、いっしょにいたらひまじゃなさそうだし。

「わかった。てつだうよ」

そう言うとルッカは晴れやかに笑った。

「ほんと!?ありがと。そしたらお礼にあたしのはつめいみせてあげる!」

しばらくの沈黙。

「…それは、いいや…」

その後ルッカが怒ったのは言うまでもない…。


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