本編

廃墟を越えて…
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「キャッ」

いきなりゲートの中から外の空間にはじかれた。

「いった〜…」

むくり、と三人が起き上がると空気が淀んでいることがすぐに分かった。

「ココまでは大臣も追ってこれないわね…。でもココ、どこ?」

きょろきょろと辺りを見渡し、マールが服に付いた埃を払い落とす。

床には厚く埃が積もっていた。

「別の星に来ちゃったみたい。…どうする?」

マールが不安そうに声をあげる。

「悪かった…俺のせいで」

クロノがバツの悪そうな顔をして二人に謝るとマールがそんなこと無い、と首を振った。

「こっちこそ、ゴメンね…!まさか大臣があんなことするなんて…。父上も…」

まずい、泣きそうだ。

慌てるクロノにルッカが事務的に声をかけた。

「まず今の私達の状況について整理しておきたいんだけど…分かってることを言ってくれる?」

「もうこのゲートは使えないわ」

マールが涙をこらえようと瞬きをしながら言う。

「大臣が居るかも知れないもの」

「ココがどこだか分からない…よな。あとそっちの扉は…」

不思議な紋様があしらわれている扉にクロノが近づき思いきり押すが、びくともしない。

「取っ手も無いし、開きそうに無いな。で、こっちは…」

クロノが反対側に有る鉄の扉の取っ手を引く。

ギイィ…ときしんだ扉が開いた。

その向こうには、荒廃した大地が広がっていた。

「一応、先には進めそうだね」

「…なら、私達は進むしかないみたいね」

ルッカが結論をだし、マールの手を取った。

「ほら、マール。いきましょう!」

「うん…」

外に出ると、植物や動物の姿は全く無く、灰や塵が中を舞っていた。

「ゴホッ…ゴホッ!」

外の空気を吸った途端三人は洋服の裾で口と鼻を覆った。

空気が淀んで、視界がかすむ。

「あそこに建物が見える!とりあえず、そこに行こう!」

固い台地を駆け抜けて三人は建物の中へと入った。

「ココは空気清浄が効いてるようね…。ま、私達が居た所よりはまだ淀んでいるけれど…」

「あ、ねえ!誰かいるよ!」

マールがひとつしか無い部屋の奥を指差した。

向こうもこちらに気付いたようだ。

「…人?」

「人だ」

「一体どこから」

ざわざわと部屋が騒がしくなった。

ボロボロの衣服を纏った何か…否、人間が部屋のいたるところで生気の失った目をしていた。

「…俺達は王国暦1000のトルースという所から来たんだけど…ココは…?」

クロノがおずおずと聞くと、ぼそりと答えが返ってきた。

「ココはトランドーム」

「王国暦?何それ…」

飢えた獣のように大勢の人たちが三人を取り囲む。

「ココには貴方達しか住んでいないの?」

「…アリスドームにいけりゃ人がいて、食い物にありつけるって噂だ…。16号廃墟を越えられたらの話だがな」

「アリスドーム?」

ルッカが鸚鵡返しに聞き返す。

「ああ…ココを北東に行った所だ…。ミュータントが巣くってやがって通り抜けられたもんじゃなねぇ…」

「私達なら通れるわ!」

マールが自信ありげに言う。

「…止めはしない…。もし、万が一アリスドームにたどり着けたら食い物を…」

「うん、分かった!持って来るわ!」

「お前らが死なねぇように、こっから祈ってるぜ。まあ、せいぜい頑張れよ…」

16号廃墟に行こうと背を向けた三人の背中を掠れた声が追いかけてきた。

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