魔王様に捧げる20のお題

4.真紅の瞳
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月光が降り注ぐいつもの夜。

俺は寝所に身を横たえ目を閉じた。

…自分の体は魔族になりつつある。

それは自分で自覚していた。

眠れぬ夜。

変わり果てた造形。

冷酷な心。

…そして、強力な魔力と身体。

それを俺は望んだ。

目的の…いや、ラヴォスを倒す為に。

魔族になれば強大なる魔力を扱う事のできる器が手に入ると、ラヴォスを倒す方法も探し出せるかもしれぬと思ったからだ。

走馬灯のように古代での日々が蘇る。

あの日、あの時、俺は…笑っていた。

今の俺には不必要な記憶だ。

…俺は目を開き、ビネガーの館に大量に安置されていた文献の一部を手に取った。

様々な魔法について書かれている。

ペラペラとページをめくっていると、封印の施されたページがあった。

魔法陣がページ一面を覆い尽くし、淡く赤い光を放っている。

あの、古代の封印だ。

何故、これがこのような所に?

怪訝に思った俺はいつも腰に付けている装身具を手に取った。

青い石が月の光を受けてキラキラと反射している。

まだ力を帯びているのがその輝きから見て取れた。

…サラのペンダントと同じ石。

サラのペンダントを封印の扉に翳し、サラが祈れば、その封印は解かれるという。

…この石にはサラの力が込められている。

この石でも事足りるだろう。

石を封印された本に翳すと一瞬発光した後、魔法陣が解かれた。

そこに記されていたのは禁断の冥魔法だった。

DARK…ダークマターか…。

逃れ難い闇と相反する白い闇を混沌と混ぜ、敵を打ち払う。

俺は文字を解読し、頭に入れた。

…俺に相応しい術だ。

後に身につけるとしよう。

俺は本を閉じ、また考えに耽った。

…ラヴォスを呼び出す方法はまだ見つかっていない。

しかし、多種の魔法を組み合わせる事できっと道はある筈だ。

魔王城の最深部にはラヴォスを呼び出す部屋を作らせた。

しかし、まだその時ではない。

…全てはこれから。

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