魔王様に捧げる20のお題

5.非情
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「近頃、目障りな騎士が」

「…誰だ」

俺は王座に腰掛け、三魔騎士に王国軍についての報告を受けていた。

「サイラスちゃんって名前なのヨネ〜。…早く殺しちゃってもいいと思うのヨネ〜」

マヨネーは女装…魔力で女に姿を変えている。

口調に似合わず、物騒な物言いをする事が多い。

魔力に長けていて、この世界では役に立つ。

「あやつめが居る所為で王国軍の士気が向上しております。他にも…騎士が聖剣を手にしたという噂が耐えませぬ」

ソイソーは忠義に厚く、信頼出来る。

魔術より武術に秀でているものの、魔術と武術を合わせた攻撃はなかなかの威力を持つ。

「聖剣だと?」

「魔王様はお知りではないのですね。聖剣といえば、伝説としてこの地に受け継がれる剣。魔族では触る事すらできないのです。もっとも魔王様なら別かもしれませぬが」

耳障りな笑い声をあげているのはビネガー。

ビネガーは…馬鹿としか言いようがない。

強いて言うなら魔族としてのプライドが妙に高い。

三魔騎士を分析し、今後の策略を練る。

「…聖剣という物が気になるな」

俺は三魔騎士を見渡した。

「ソイソー。騎士が何処にいるか感づかれないよう手下に調べさせろ。…失敗は許さん」

「御意」

ソイソーが部屋を退室する。

「マヨネー。お前は聖剣の事を魔術書を読み解いて調べろ。早めに頼む」

「魔王様のお願いなら何でもするのヨネ」

マヨネーがソイソーの後に続く。

ため息をつき、王座に深く腰掛ける。

しばらくの沈黙。

「あの〜…私は何をすれば?」

俺は音が響かないように小さく舌打ちをした。

「…そうだな…最近、侵入者が多い…。では、魔王城の守りを強固な物にしろ」

「わかりました。お任せ下さい!わし、いえ私の完璧なトラップで…」

「…間違っても魔族を嵌めるな」

ギクリ、とビネガーが身体を膠着させる。

前科を思い出したのだろう。

「お前も、またソイソーに刃を向けられたくはなかろう?」

「はっ、はい!じゃあ私はこれで…」

いそいそとビネガーが視界から消えた。

俺は傍らに置いた鎌の刃を自らの爪でなぞった。

…聖剣か…。

人間ごときが。

俺の、邪魔をするな…!

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