魔王様に捧げる20のお題

8.時の闇
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響く足音と地の底をはいずるような声が重なる。

「ダ・ズマ・ラフア・ロウ・ライラ……」

背後で青い火が灯る。

「紡がれよ、天と地の狭間に……」

すらり、剣の抜かれる音がした。

「この大地の命と引き替えに……!」

まばゆい輝きが身を包む。

…術は完成した。

だがまずは侵入者を排除しなくては。

魔法陣に保護術をかけ、炎の光を受けながらゆっくりと振り返る。

「魔王ッ!」

そこには、赤い髪をした少年と短い紫の髪の少女、そして殺し損ねたカエルが武器の標的を定めながら俺を睨み付けていた。

カエルの眼は憎しみに満ちている。

ああ、やはり失った物が大きい程それを失わせた相手を憎む気持ちも大きいのか。

こいつは俺を本気で殺そうとしている。

…そうで無くては。

「いつかのカエルか……。どうだ、その後の人生は」

俺は皮肉をカエルに浴びせた。

「感謝しているぜ。こんな姿だからこそ……手に入れた物もある!」

その刹那、耳元で一際強く風が鳴った。

「黒い風が、また泣きはじめた……。よかろう、かかってこい……」

俺はそこで言葉を切った。

赤い双眸をかっと見開く。

「死の覚悟が出来たのならな!」

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